お店の名前は『アルミニウム』 良いも悪いも紙一重のお勉強

   

初めてオーナーになったお店の名前。

 

『アルミニウム』

元素記号を使って『AL』

(ステッカー。B5の大きさ。車に貼ると太陽に反射してよく目立つ)

 

テーブルも壁もすべてアルミニウムを使った店づくり。

 

別に金属が好きなわけじゃない。

ただ奇をてらったお店が欲しかった。

 

冷たい金属に囲まれてニコニコ笑ってるアタシ。

このミスマッチで、不思議な前衛的なお店が出来上がった。

AM9:00~PM9:00までの営業。

 

コーヒーの淹れ方は覚えた。

ランチのメニューも完璧。

食器も揃えた。

コーヒーカップも名前入りをたくさん作った。

フライパンも鍋も買った。

レジ台も買った。

 

準備は完璧!!

 

満を持してオープン!!

 

だ、だ、だけど・・・

お客が来ない・・・

 

ホントに来ない。

ぜんぜん来ない。

 

近所に大きな大学があって、そこの学生が二人ほど常連さんになってくれた。

この常連さんは朝いちばんにやって来て、コーヒー一杯でずーーーーっと居続ける。

 

お昼になると「ママさん、弁当食べていいかなぁ」と言う。

「いいよ」って言うと、自前のお弁当を食べてそのままずーーーーっと居続ける。

 

これで商売になるわけがない。

 

毎月 家賃の10万円位。

借りた資金の返済 15万位。

仕入れ等の運転資金。

 

これらのお金は絶対に必要だ!

 

多少の運転資金はキープしてあったけれど、そんなものはすぐに消えてしまう。

 

 

こんなはずじゃない!こんなに苦労して努力してやっと開店にこぎつけたのに・・・こんな事ってあるのか!!

 

 

どうしよう・・・と毎日資金繰りの呪縛におびえながら喫茶店ごっこは続いた。

 

そう!

今思うと、アタシの初めてのお店は「若いオンナのごっこ遊び」だったのだ。

 

お店を開けばお客様は必ずやってくるだろうという砂糖のように甘い妄想。

お店を開店するだけでお金はどんどん儲かるだろうという根拠のないはちみつ感覚。

アタシがいるんだからお客様は来てくれるだろうというマリアナ海溝より深い傲慢思考。

 

とにかくバカな開店だった。

三か月を過ぎた頃、頭に10円はげが出来る。

このまま続けたら ずるムケだぁ!

 

改善策を脳細胞フル活動で考える

 

結果。

・アタシに喫茶店は無理

・お店は借金があるのでつぶせない。

・夜だけの営業にしよう。

・夕方まで別の仕事をしよう。

 

この改善策ですぐ動き出す。

 

もう一度タレント活動をするんだ。

でも、事務所には戻れない。

 

自分で営業をして仕事を取ろう!

 

当時名古屋のタレントは岐阜放送にも出向いていた。

岐阜放送は前衛的な放送局で、ディスクジョッキーの個性を生かした面白い番組をたくさん持っている。

 

アタシは現役の頃、岐阜放送の深夜番組も担当していて、プロデューサーには連絡が取れる。

 

もう恥も外聞もない。

彼に連絡を取って、朝のラジオ帯レギュラー番組を担当させていただく。

 

これで昼間の仕事は決まった。

 

夜は5:00からの営業でパブレストランに業態変更。

ここは頑張るしかないので夜中の2:00まで営業だ。

 

夜中まで開けているだけじゃぁヒトは集まらないなぁ。

 

よし!カラオケを入れよう!!

 

30年ほど前のこの当時、世の中はまだカラオケボックなんてなかった。

 

とにかく捨て身の、覚悟を決めた30オンナの試練。

 

もう無我夢中。

 

・朝、7時頃起きて 娘を保育園に連れて行く。

・その足で岐阜に向かう。(これが結構な時間を使う。でも不平なんか言えない。言えるわけがない)

・朝の番組を喋りまくる。

・お昼で終わる。

・名古屋に帰る。

・娘を迎えに行く。

・お店に入って夕方の仕込みをする。

・営業が始まる。

・AM2:00になる。

・AM3:00ころ寝て、朝になる。

 

こんな状態の無我夢中。

 

娘はどうしていた?

 

あまりの惨状を見かねて母が同居してくれた。

父親のBOSSもいる。

 

 

若い母親が仕事を優先して暮らそうという時、やっぱり誰かの力が必要になる。

アタシには母とBOSSがいてくれたから夜逃げをすることもなく借金の返済に正面から取り組めたけれど、今 母子家庭で暮らしている若いママはホントに大変だと思う。

 

核家族化している現代。

母子家庭のご苦労は余りあるものと思う。

 

自分の努力はもちろん必要だけれど、使える福祉を上手に使って 自分の周りの助けてくれる仲間とか家族を大事にしてほしい。

 

 

さて、話を戻して、この無謀な生活でやっとアタシは少しだけ大人になれた・・・と思う。

 

喫茶店でもしようかな・・・なんて甘い事を言っていたけれど、「とにかく借金を返さなきゃ」という いっぱしの大人感覚が生まれた。

 

おけげで何とか返済もできるようになる。

 

パブのカラオケが大当たりして、この間まで潰れる危機ばっかりだったアルミニウムが大繁盛!!

 

世の中ってホントに裏と表は紙一重。

 

裏の部分であきらめたらそこで終わり。

紙一枚で表が見えるよ!

あきらめないで!

 

続く・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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